スタッフが患者さんに美容医療をすすめてくれない、協力的ではない。スタッフの労務問題が絶えない。スタッフがすぐ辞めてしまう。

こうした課題やトラブルが繰り返し発生してしまうのは、もしかすると、そもそものスタッフ採用に問題があるのかもしれません。

こういう場合、スタッフ採用のやり方を根本的に変えなければ、先生はいつまでもスタッフの問題で悩まされることになるかもしれません。

そこで、今回から何回かにわたって、スタッフ採用で間違えないためのポイントをお伝えできればと思います。

患者の集患と同じように「ターゲット」を決める

まず確認していただきたいのは、患者さんの集患と同じように、スタッフの募集をかける前に「どのような人材を採用したいのか」というターゲットを設定しているか、ということです。

そしてもう一つ、そのターゲットを引き寄せる魅力的な「オファー」を考えているか、ということです。

わかりやすく言えば、

猿にはバナナ
猫にはまたたび
犬にはおやつ

というように、ターゲットを決めたら、そのターゲットにとって魅力的に思えるクリニックのオファーを整理しなければなりません。

ここでいうオファーとは、単に給与や休日などの待遇だけではありません。

クリニックの理念や診療方針、どのような患者さんにどのような医療を提供しているのか、どのようなスタッフと働けるのか、どのような経験を積み成長できるのかなど、求職者から見た「このクリニックで働く魅力」全体を指します。

そして、「求める人物像」と「その人材にとって魅力となるオファー」の2つを求人原稿にうまくまとめ、ターゲットとなる求職者が多く接触している媒体へ出すことが重要です。

「好条件」だけを前面に出した採用には注意する

多くのクリニックでありがちなのが、募集媒体の会社や採用コンサルタントなどから提案され、給与・休日・勤務時間などの条件面を求人広告のキャッチコピーとして大きく押し出す方法です。

もちろん、給与や休日、勤務時間などの労働条件を整えることは非常に重要です。競合するクリニックと比較して著しく条件が悪ければ、そもそも応募してもらえない可能性もあります。

また、給与が高い、休日が多い、勤務時間が短いといった「好条件」を前面に打ち出せば、求人広告への反応が高まり、応募数を増やすことにはつながりやすいでしょう。

しかし、ここで注意しなければならないのは、「応募数が増えること」と「自院が求める人材からの応募が増えること」は、必ずしも同じではないということです。

私がおすすめしないのは、「好条件であることだけ」を求人の中心的な魅力として打ち出す採用方法です。

好条件を強く打ち出すほど、クリニックの理念や診療方針、仕事内容そのものよりも、給与や休日、勤務時間などの条件面を重視する求職者からの応募も増えやすくなります。その結果、応募数は増えたものの、自院が本当に採用したい人材の割合が低くなり、採用活動の効率がかえって悪くなることもあります。

そして、待遇面を主な理由として入職した場合、クリニックの理念や診療方針、患者さんへの向き合い方、美容医療に対する考え方などとのミスマッチが、入職後に明らかになる可能性があります。

その結果、「思っていた職場と違った」という不満につながり、早期離職やスタッフ間のトラブルにつながることもあります。

スタッフがすぐ辞めてしまうことでお困りのクリニックは、「応募数を増やす採用」ではなく、「自院に合った人材からの応募を増やす採用」になっているか、一度見直してみることをおすすめします。

理念や価値観に共感する人を採用する

基本的には、クリニックのコンセプトやMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)をWebサイトなどに記載し、それらを応募前に見てもらうことをおすすめします。

ここでいうクリニックのコンセプトとは、「どのような患者さんを対象に、どのような美容医療やサービスを、どのような考え方で提供していくのか」というクリニックの基本的な方向性です。

その内容を理解し、共感してくれる人材を採用することが、入職後のミスマッチを減らす上で重要です。

特にハイブリッド型クリニックの場合、「保険診療だけをやりたい」というスタッフを採用してから、美容医療にも積極的に取り組んでもらおうとしても、本人の価値観と合わなければ難しいケースがあります。

だからこそ採用段階から、

「保険診療だけでなく美容医療にも積極的に取り組むクリニックである」

「患者さんのお悩みに応じて、保険診療と美容医療の双方から選択肢を提供している」

といった自院の方向性を伝え、それに共感できる人材を採用することが大切です。

もちろん、診断や治療方針の決定は医師が行うものであり、スタッフにはその職種・資格に応じた適切な役割を担ってもらうことが前提です。

採用は「応募者を増やすこと」がゴールではない

採用活動で重要なのは、とにかく応募者を増やすことではありません。

「自院が採用したい人材から応募してもらうこと」です。

そのためには、まず求職者のターゲットを明確にし、そのターゲットの興味を引くことのできるクリニックの長所・強みである「オファー」を整理する必要があります。

そして、その中には給与や休日などの条件面だけではなく、クリニックのコンセプトやMVV、診療方針、仕事のやりがい、成長できる環境なども含めて考えることが重要です。

間違っても、好条件だけを前面に打ち出した求人広告に頼り切ることはおすすめしません。

今回はスタッフ募集について、まずは「採用したい求職者のターゲット」と、「そのターゲットの興味を引くことのできるクリニックの長所・強み=オファー」を整理することの重要性をお伝えしました。

ここが曖昧なまま求人を出してしまうと、自院が本当に求めている人材との出会いは難しくなります。

スタッフ採用でお悩みの先生は、求人媒体を変えたり、給与を上げたりする前に、まずはこの2つから見直してみてください。



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