
美容クリニックの採用において大切なことの一つが、求職者が「自院に合っているか」「自院と調和できる人材か」を見抜くことです。
ここでいう「調和」とは、単に既存のスタッフと性格や考え方が似ているという意味ではありません。
既存のスタッフと一致団結して仕事を行える人材なのか。
あるいは、既存のスタッフでは弱い部分を補うような長所を持っており、その長所を生かすことによって、クリニックの持続的な成長に貢献できる人材なのか。
私は、このような視点から求職者を見極めることが重要だと考えています。
「スタッフ問題をすべて「スタッフの責任」にしない
まれにではありますが、無料相談で先生と面談し、スタッフのマネジメントについてお話をしていると、起きている問題の原因をすべてスタッフ側に求めている先生がいらっしゃいます。
たしかに昨今は、先生が「これは社会人として当然だろう」と考えていることと、スタッフが「当然」と考えていることにギャップがあるケースも少なくありません。
挨拶、報告・連絡・相談、時間を守る、相手への配慮など、先生方が常識だと思っていることを十分に理解しておらず、本人には悪気がないまま仕事をしているケースもあります。
そのため、
「なぜ、こんな当たり前のことができないのだろう」
と先生がお感じになるお気持ちもよくわかります。
しかし、スタッフ問題が起こるたびに「スタッフが悪い」で終わらせてしまえば、同じような問題が繰り返される可能性があります。
採用基準に問題はなかったのか。
面接で確認すべきことを確認できていたのか。
入職後の教育やルールの共有は十分だったのか。
注意・指導の方法に改善できる点はなかったのか。
スタッフ側の問題だけではなく、クリニック側にも改善できる点がないかを考えることが、マネジメントでは重要だと思います。
マネジメントで失敗しないコツは、採用で失敗しないこと
マネジメントで失敗しないための重要なポイントは、本コラムをお読みいただいている勉強熱心な先生であればおわかりいただいている通り、まず「採用で失敗しないこと」です。
どれだけ優れたマネジメント手法を取り入れても、自院の考え方や仕事の進め方と大きく合わない人材を採用してしまえば、入職後の教育やマネジメントには多くの労力が必要になります。
一方、採用段階で求職者をできる限り見極め、
「自院と調和できる人材なのか」
「自院で長所を生かして活躍できる人材なのか」
を判断した上で採用できれば、入職後のミスマッチやマネジメント上の問題を大きく減らすことにつながると私は考えています。
私は、スタッフマネジメントにおける問題の多くは、実は採用段階から始まっているのではないかと思います。
「自院に合わない人材=能力がない人材」ではない
ここで、求職者側の立場から考えてみたいと思います。
鉄鋼王として知られるアンドリュー・カーネギーは、著書『実業の帝国』の中で、次のような趣旨の言葉を残しています。
「君たちを使ってくれるボスが感心できなかったら一時の損は覚悟の上で、サッサと見切りをつけて去っていけ。自分の天分を見抜いて生かしてくれる人に巡り合うまで、くたびれずに転々とすることだ」
私は、この言葉は求職者だけではなく、人を採用する経営者にとっても非常に重要な示唆を含んでいると思います。
人には必ず長所があります。
たとえ自院には向いていなかったとしても、その人自身に能力がないということではありません。
その人の長所を生かし、花を咲かせられる職場がほかにあるかもしれません。
だからこそ私は、最初の書類選考や適性検査、オリジナルテスト、面接などを通じて、
「自院と調和できる人材なのか」
あるいは、
「自院で活躍できる長所を持っているのか」
をできる限り見極めたうえで採用することが重要だと考えています。
それを十分に見極めないまま採用してしまえば、クリニックにとっても、求職者にとっても、不幸な結果につながる可能性があります。
採用したあとに「自院に向いていない」と感じたら
もちろん、採用段階ですべてを見抜くことはできません。
書類選考やテスト、面接では非常によい印象だったとしても、実際に一緒に働いてみると、「自院には向いていないかもしれない」と感じるケースもあります。
そのような場合も、すぐに「このスタッフはダメだ」と判断するのではなく、まずは何が問題なのかを具体的に伝え、必要な注意・指導や教育を行い、改善の機会を設けることが大切です。
そして、注意・指導を繰り返し、本人にも改善する機会を設けたにもかかわらず改善がみられない場合には、そのスタッフの能力や長所と、現在の仕事内容や役割が合っているのかを改めて考えてみることも必要です。
自院の中でそのスタッフの長所を生かせる役割がないかを考えることも、一つの方法でしょう。
その上でも雇用の継続が難しい場合には、労働関係法令や就業規則等に沿って、個別の状況に応じて適切に対応する必要があります。
重要なのは、「自院に向いていない=その人自身がダメ」ということではないということです。
その人には、その人の長所を生かし、花を咲かせられる職場がほかにあるかもしれません。
これはカーネギーの言葉にも通じる考え方ではないでしょうか。
スタッフ問題で悩んでいる先生こそ、採用を見直してみる
スタッフの問題が起きると、
「どう注意すればいいのか」
「どう教育すればいいのか」
「どうすればスタッフが変わってくれるのか」
と、入職後のマネジメントばかりに目が向きがちです。
しかし、その前に一度、
「そもそも、なぜこの人を採用したのか」
「採用するときに何を見ていたのか」
「自院に合う人材の基準を明確にしていたのか」
を振り返ってみてください。
採用は、求職者に入職してもらうことがゴールではありません。
その人が自院のスタッフと調和し、自分の長所を生かしながら活躍し、結果としてクリニックの持続的な成長にも貢献してくれる。
そこまでを考えて採用することが重要です。
スタッフ問題でお悩みの先生は、ぜひ「求職者を見抜くための採用の基本」をマスターしてください。
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