先日、お客様から「履歴書・職務経歴書などの書類選考では、どのようなポイントを見て足切りをすればよいですか?」というご相談をいただいたので、私が見ているポイントを簡単にお伝えしました。

そこで今回は、書類選考で求職者を見極めるための、ちょっとしたポイントをお伝えしたいと思います。

履歴書から「仕事の丁寧さ」を見る

まず、履歴書を見る際には、書かれている内容だけではなく、「相手に読んでもらう書類として丁寧に作られているか」という視点で確認します。

手書きの履歴書であれば、例えば、

・極端に文字が乱れていて読みづらい
・枠から大きく文字がはみ出している
・書き直した跡や消し忘れが多い
・最初は丁寧なのに、後半になるにつれて極端に雑になる

といった点です。

もちろん、字がきれいかどうかだけで仕事の能力を判断することはできません。

しかし、患者さんと接する医療機関では、カルテ入力や書類作成、院内での情報共有など、正確性や丁寧さが求められる業務が少なくありません。

そのため、文字の美しさそのものより、「相手に読んでもらうことを考えて、最後まで丁寧に作成しているか」を見るようにしています。

なお、現在では履歴書・職務経歴書をWordなどで作成することも一般的ですので、手書きかパソコン作成かだけで合否を判断する必要はありません。

パソコンで作成された書類であっても、誤字脱字、レイアウト、内容の整合性などから、その人の丁寧さを見ることはできます。

生成AIを使ったかではなく「自分の言葉になっているか」

最近では、明らかに生成AIを使って作成したと思われる応募書類も増えてきました。

生成AIを利用すること自体を、一律にNGにする必要はないと考えています。

私が注意しているのは、生成AIが作ったと思われる文章をほぼそのまま提出し、本人の考えや経験がほとんど反映されていないケースです。

例えば、クリニックのWebサイトに書かれている理念や特徴をきれいにまとめているものの、「なぜ自分がそこに共感したのか」「自分の経験をどう生かせるのか」がほとんど書かれていない場合です。

文章だけは非常に立派なのに、面接でその内容について質問すると、自分の言葉で説明できないこともあります。

大切なのは生成AIを使ったかどうかではなく、応募者自身がクリニックについて調べ、理解し、自分なりに考えたうえで応募しているかです。

写真にも「相手への配慮」が表れる

次のポイントは写真です。

ここでも、単純に容姿を見るわけではありません。

・応募先にふさわしい服装や身だしなみか
・履歴書に適した写真を使用しているか
・写真のサイズが枠に合っているか
・極端に曲がったり、枠からはみ出したりしていないか

などを確認します。

例えば、特段の事情もなく、医療機関への応募書類にTシャツなどのカジュアルすぎる服装の写真を使用している場合には、私は慎重に判断します。

また、写真のサイズが枠に合っていない、曲がって貼られている、大きく枠からはみ出しているといった場合も同様です。

写真そのものだけで仕事の能力を判断するわけではありませんが、「相手からどう見えるかを考えられるか」「細部まで気を配れるか」を見る一つの材料にはなります。

高校の偏差値も「基礎学力」を見る一つの参考にする

次に、私が書類選考で確認しているのが学歴です。

クリニックの現場では、最低限必要な計算ができる、文章を正しく読み取れる、必要な文章を作成できる、指示された内容を正しく理解できる、患者さんからの質問に対して適切に受け答えできる、といった基礎能力が必要になります。

そこで私は、こうした基礎能力を推測するための一つの参考情報として、出身高校やその偏差値も確認しています。

もちろん、高校の偏差値だけで、その人の現在の能力や仕事への適性を判断できるわけではありません。偏差値はあくまで一定時点における学力水準を相対的に示す指標の一つであり、仕事への意欲、人柄、コミュニケーション能力、実務能力などを表すものではないからです。

しかし、応募者全員の基礎学力を履歴書だけで正確に把握することはできません。そのため、書類選考の段階では、基礎学力を推測するための一つの参考情報として、高校の偏差値を見ることには一定の意味があると私は考えています。

ちなみに、大卒の方についても、私は大学名だけではなく出身高校も確認するようにしています。

大学については入試方式などもさまざまであるため、大学名だけで判断するのではなく、高校を含めた学歴全体を見ることで、その方の基礎学力を推測するための参考にしています。

ただし、偏差値だけで機械的に合否を決めるのではなく、判断に迷う場合には面接へ進んでもらい、必要に応じて簡単な計算問題や文章作成などの適性テストを行い、実際の能力を確認するとよいでしょう。

在職期間が短い・転職回数が多い場合は要注意

また、私が書類選考で特に重視しているのが、一社あたりの在職期間と転職回数です。

短期間での退職を繰り返している方や、年齢に対して転職回数が明らかに多い方については、私は原則として書類選考の段階で見送るようにしています。

もちろん、転居や家族の事情、勤務先の倒産など、本人にはどうすることもできない事情による退職もあります。

しかし、採用には求人広告費だけでなく、面接、入職手続き、教育・研修など、多くの時間とコストがかかります。

特に小規模なクリニックでは、一人のスタッフが短期間で退職するだけでも、院長や既存スタッフへの負担は決して小さくありません。

そのため、「採用した人にできるだけ長く働いてもらう」ことを重視するのであれば、過去の在職期間や転職回数は書類選考で確認すべき重要なポイントだと考えています。

また、職歴の時系列に矛盾がないか、短期間での転職を繰り返していないか、転職の経緯に不自然な点がないかについても確認します。

一方で、書類だけでは判断できず、何らかの事情がありそうな場合には、面接に進んでもらい、その理由を直接確認すればよいでしょう。

条件面の質問ばかりになっていないか

もう一つ、私が確認しているのが応募書類の質問欄や希望欄です。

給与、休日、勤務時間、残業などの労働条件を確認すること自体は、求職者にとって当然のことです。

しかし、クリニックの仕事内容や理念にはほとんど触れず、条件面についての細かな希望ばかりが多数記載されている場合には、「この人は何を基準に職場を選んでいるのだろうか」という点を慎重に確認します。

条件を確認することが悪いのではありません。

仕事の内容やクリニックとの相性よりも、条件面だけを最優先して職場を選んでいないかを見るということです。

「このクリニックで働きたい」が伝わる応募者は高く評価する

一方、私が高く評価するのは、WebサイトやSNSなどを事前に見て、クリニックのことをきちんと理解したうえで応募していることが伝わる方です。

例えば、

「貴院の〇〇という考え方に共感した」

「これまでの〇〇という経験を生かして、貴院の〇〇の部分で貢献したい」

「美容医療にも力を入れている点に魅力を感じ、自分も〇〇に取り組みたい」

など、「なぜこのクリニックなのか」「自分は何ができるのか」が具体的に書かれている方は、高く評価できます。

こうした応募書類からは、応募先について事前に調べていることはもちろん、相手が何を求めているのかを考える力や、仕事に対する姿勢も見えてきます。

書類選考の目的は、まず「足切り」

今回は、履歴書や職務経歴書から求職者を見極めるための、ちょっとしたポイントをご紹介しました。

ここで大切なのは、書類選考だけで、その人の能力や人柄のすべてを見抜こうとしないことです。

書類選考の目的は、まず自院の採用基準に明らかに合わない方を足切りすることだと私は考えています。

一方で、「少し気になるところはあるけれど、これだけで不採用にしてよいのか判断できない」という方については、無理に書類だけで結論を出す必要はありません。

そうした方は面接へ進んでもらい、書類選考で気になった点について直接質問し、確認すればよいのです。

つまり、

「明らかに採用基準に合わない方は書類選考で見送る。判断に迷う方は面接で確認する」

というシンプルな考え方です。

人手不足だからといって、書類選考の基準を下げて全員を面接していては、先生や採用担当者の時間がいくらあっても足りません。

だからこそ、自院が求める人物像と書類選考の基準をあらかじめ明確にし、まずは書類で効率よく絞り込むことが重要です。

今回ご紹介した内容は、そのためのちょっとした履歴書・職務経歴書の見方ですが、スタッフ採用でお悩みの先生は、ぜひ参考にしてみてください。



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