前回のコラムの続きです。

書類選考とWeb適性検査を通過した求職者の方には、クリニックへ面接にお越しいただきますが、私のお客様のクリニックでは、面接の前にクリニック独自のオリジナルテストを受けていただくことが多いです。

今回は、このオリジナルテストについてお伝えしたいと思います。

オリジナルテストで「実際の能力」を確認する

クリニックのオリジナルテストとは、求職者の基礎学力や実務に必要な能力などを見るために、クリニックで独自に作成するテストです。

Web適性検査では、性格や行動特性などを確認しますが、オリジナルテストでは、実際にクリニックで働く上で必要となる基礎的な能力を確認します。

テストの内容としては、例えば、

・基礎学力:計算・読解・論理的思考
・一般常識:社会人として必要な基礎知識
・医療・美容への理解:最低限の理解力や関心
・接遇判断:患者さんへの適切な対応
・状況判断:医療機関として適切に行動できるか
・文章・コミュニケーション:メール・LINEなどの文章作成力や説明力

などの内容で問題を構成します。

実際にどのような問題を出すのか、いくつか例をご紹介します。

①計算問題

例えば、

「施術料金22,000円のメニューを10%OFFで提供します。患者さんのお支払額はいくらですか?」

答えは19,800円です。

難しい数学の問題を出す必要はありません。

ここで確認したいのは、クリニック業務で必要になる基礎的な計算力です。

料金、割引率、回数、時間など、美容医療の現場では数字を扱う機会が少なくありません。

そのため、業務で実際に発生しそうな簡単な計算問題をいくつか入れておくことをおすすめします。

②読解問題

300~500文字程度の文章を読んでもらい、

「この文章で最も伝えたいことを100文字以内でまとめてください」

といった問題を出します。

これは非常におすすめです。

クリニックでは、院内マニュアル、患者さんからの問い合わせ、ドクターからの指示など、文章を正確に読み取り、要点を理解する能力が必要だからです。

文章を読んでも要点をつかめない、質問に対する回答がずれている、といった傾向も確認できます。

単純な学歴だけでは分からない、実際の読解力を見るためにも有効です。

③接遇問題

例えば、

「予約時間から20分経過し、患者さんから『いつまで待たせるんですか?』と強い口調で言われました。あなたならどう対応しますか?」

という問題を自由記述で回答してもらいます。

ここでは、模範解答と完全に一致するかどうかだけを見るのではありません。

例えば、

「まずお待たせしていることについてお詫びする」

「患者さんの話を聞く」

「現在の状況を確認する」

「自分の判断だけでできない約束をしない」

「必要に応じて院内のルールに従って確認・報告する」

など、患者さんへの配慮と適切な対応を考えられているかを確認します。

④医療安全・報告問題

例えば、

「自分が行った業務について、後からミスの可能性に気づきました。しかし、患者さんからは何も言われていません。あなたならどうしますか?」

という問題です。

これもかなり重要です。

「患者さんから何も言われていないので、そのまま様子を見る」という回答なのか、それとも「まず事実関係を確認し、院内のルールに従って速やかに報告・確認する」という回答なのか。

こうした問題から、ミスや問題が起きた可能性があるときに、どのように考え、行動しようとする人なのかが見えてきます。

特に医療機関では、ミスを隠さず、必要な報告を速やかに行えることは非常に重要です。

⑤患者対応問題

美容医療を行っているクリニックであれば、患者さんへの対応についても問題を入れておくとよいでしょう。

例えば、

「脱毛で来院された患者さんから、『最近シミも気になっているんです』と相談されました。あなたならどう対応しますか?」

という問題です。

ここで確認したいのは、スタッフが自分の判断で治療内容を決めたり、積極的に治療をすすめたりできるかではありません。

患者さんのお悩みや希望を丁寧に聞き、必要に応じてドクターの診察や相談につなげるなど、それぞれの職種の役割の範囲内で適切に対応できるかを確認します。

美容医療では患者さんの美容のお悩みに接する機会が多いからこそ、患者さんの意思を尊重しながら適切な対応ができるかを見ることが重要です。

もちろん、診断や治療方針の決定、治療内容の選択などの医学的判断は医師が行います。

「性格を当てる」より実際の場面でどう判断するかを見る

オリジナルテストで特におすすめなのが、SJT(Situational Judgment Test:状況判断テスト)の考え方を取り入れた問題です。

例えば、

「受付が混雑しています。そのとき、施術室から看護師に呼ばれ、電話も鳴り、目の前には患者さんが待っています。あなたならどのような順番で対応しますか。また、その理由も答えてください」

といった、実際のクリニックで起こりそうな場面を提示します。

こうした問題をいくつか作ることで、

・優先順位の付け方
・患者さんへの配慮
・報告・連絡・相談
・チームワーク
・医療安全への意識
・状況判断力

などを確認することができます。

これらは履歴書や職務経歴書だけでは、なかなか分かりません。

また、回答そのものだけでなく、「なぜその行動を選んだのか」という理由まで書いてもらうと、その人の考え方がさらに見えやすくなります。

「文章作成問題」は必ず入れる

さらに、私は文章作成問題も入れることをおすすめしています。

現在のクリニック業務では、メールやLINEなどを使って患者さんとやり取りする機会も多いため、特に医療事務の採用では有効です。

例えば、

「患者さんから『予約を明日に変更できますか?』と連絡がありました。しかし、明日は予約が埋まっています。患者さんへの返信文を作成してください」

といった問題です。

この回答を見るだけでも、

・適切な敬語を使えるか
・文章を正しく作れるか
・患者さんへの配慮があるか
・必要に応じて代替案を提示できるか
・簡潔で分かりやすい文章を書けるか

などが分かります。

メールやLINEでは、スタッフが書いた文章がそのままクリニックの印象につながります。

そのため、文章作成能力は採用時に確認しておきたいポイントの一つです。

オリジナルテストは必ず来院時に行う

そして、このオリジナルテストは、自宅ではなく、必ずクリニックへ来院してもらったときに行うことをおすすめします。

自宅で回答してもらうと、インターネットで調べたり、生成AIを利用したり、第三者に聞いたりすることができてしまいます。

それでは、求職者本人の基礎学力や文章力、読解力、状況判断力などを正確に確認することが難しくなります。

そのため、オリジナルテストは生成AIやインターネットなどを使用できない環境で、その場で回答してもらいます。

そして、オリジナルテストと面接は同じ日に行います。

例えば、

オリジナルテスト

面接

という順番です。

先にオリジナルテストを行っておけば、その回答で気になった部分について、その後の面接で質問することもできます。

「なぜこのように回答したのですか?」

「この場面では、なぜこの対応を選んだのですか?」

と掘り下げて質問すれば、回答だけでは分からなかった本人の考え方まで確認できます。

書類選考→Web適性検査→来院選考」で多面的に見極める

ここまでの採用方法を整理すると、私がおすすめしている流れは、

書類選考

Web適性検査

来院(オリジナルテスト+面接を同日に実施)

となります。

書類選考では、履歴書や職務経歴書から経歴や仕事への姿勢などを確認する。

Web適性検査では、性格や行動特性などを確認する。

そして、そこまで通過した方に来院してもらい、オリジナルテストで基礎学力や読解力、文章力、状況判断力などを確認し、その後の面接で人柄や考え方、自院との相性、それまでの選考で気になった点について確認する。

このように、それぞれの選考に役割を持たせることで、一つの試験や面接だけで判断するよりも、求職者を多面的に見ることができます。

クリニック独自のオリジナルテストは、一度作成してしまえば、その後の採用でも継続して活用できます。

ハイブリッド型クリニック、美容皮膚科、美容外科などでスタッフ採用にお悩みの先生は、自院の業務で本当に必要となる能力を整理した上で、オリジナルテストを作成してみてはいかがでしょうか。

なお、本サイトでは、「スタッフ採用オリジナルテスト」のサンプルを無料でご提供しています。

自院の採用テストを作成する際の参考として、ぜひご活用ください。

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