前回のコラムの続きです。
前回は書類選考における求職者の見極め方についてお伝えしましたが、今回は「適性検査」についてお伝えしたいと思います。
面接の前にWeb適性検査を行う
書類選考のあと、私は来院してもらう前にWeb適性検査を挟むことをおすすめしています。

「適性検査は面接のときに一緒にやればいい」という先生もいらっしゃいますが、それでは来院してもらってから、「自院が求めている人材とはかなり違った」とわかることがあります。
院長や採用担当者が選考に使える時間にも限りがあります。
そのため、私は、
書類選考
↓
Web適性検査
↓
来院
↓
クリニック独自のオリジナルテスト
↓
面接
という流れをおすすめしています。
Web適性検査まではオンラインで完結させ、そこまで通過した方に初めて来院してもらうという考え方です。
適性検査の結果、自院が求める人物像と大きく異なり、書類選考の内容なども含めて次の選考へ進めるべきではないと判断した場合には、この段階で選考を終了することもあります。
つまり、Web適性検査を面接の参考資料として使うだけではなく、次の選考へ進んでもらうかどうかを判断する一つの「足切り」として活用するということです。
ただし、適性検査だけでその人のすべてを見抜くことはできません。結果だけを絶対視して機械的に採否を決めるのではなく、書類選考の内容なども含めて総合的に判断することが重要です。
美容クリニックでは能力だけでは足りない
皮膚科と美容皮膚科を併設するハイブリッド型クリニックはもちろん、美容皮膚科・美容外科などの美容クリニックでは、業務を遂行する能力だけでなく、周囲と協力できるか、責任を持って仕事ができるか、患者さんやスタッフと適切にコミュニケーションを取れるか、感情を安定させて仕事に取り組めるか、といった性格や行動特性も、入職後の活躍や定着に影響します。
どれだけ能力が高くても、周囲のスタッフと協力できない、院内のルールや指示を守れない、患者さんへの配慮ができない、といった方では困ります。
そのため、美容医療を提供するクリニックの採用では、来院時のオリジナルテストで基礎能力を確認するだけではなく、その前段階のWeb適性検査で性格や行動特性なども確認しておくことをおすすめします。
適性検査ではさまざまな項目を確認できますが、美容クリニックの採用において私が特に確認しておきたいのは、次の7つです。
①協調性
美容医療は、ドクター、看護師、医療事務など、さまざまな職種の連携が重要です。
「自分の仕事だけ終わればいい」というタイプは、個人の能力が高かったとしても、チームで仕事をするクリニックでは問題になることがあります。
特に小規模なクリニックでは、一人のスタッフの言動が院内全体の雰囲気に影響することもありますので、周囲と協力しながら共通の目標に向かって仕事ができるかは重要なポイントです。
②責任感
医療機関の採用では、責任感も非常に重要です。
自分に与えられた仕事や役割を理解し、最後まで責任を持って取り組めるかを確認します。
医療の現場では、小さな確認不足や「誰かがやってくれるだろう」という意識が、患者さんへの対応や院内業務のトラブルにつながることもあります。
また、ミスや問題が起きた際に放置せず、必要な報告や対応ができることも重要です。
そのため、責任感は美容クリニックのスタッフ採用において特に重視したい項目の一つです。
③共感性
患者さんや周囲のスタッフの考えや気持ちを理解し、相手に合わせたコミュニケーションを取れるかという点も確認します。
特に美容医療では、患者さんが容姿に関するデリケートなお悩みを相談されることも少なくありません。
そのため、一方的に自分の考えを伝えるのではなく、まず相手の話を聞き、相手が何を考え、何を求めているのかを理解しようとする姿勢が重要です。
ただし、共感性についても、高ければ高いほどよいと単純に判断するものではありません。
患者さんの感情に必要以上に影響されてしまうことが、本人の負担になる場合もあります。
他の特性とのバランスも含めて見ることが重要です。
④感情安定性
美容クリニックでは、患者対応、繁忙時の業務、クレーム対応など、一定のストレスがかかる場面があります。
そのため、物事に落ち着いて対処できるか、感情を安定させながら仕事に取り組めるかという点も確認しておきたいポイントです。
嫌なことがあったときに感情を仕事へ持ち込みすぎないか、忙しくなったときに周囲へ強く当たってしまわないか、といった部分にも関係します。
特に患者さんと直接接する職種では、感情の起伏がそのまま接遇に表れてしまうこともあるため、確認しておきたい項目です。
⑤積極性
仕事や人間関係に対して、自ら動こうとする積極性も確認します。
クリニックでは、常に院長や上司から細かな指示を出してもらわなければ動けない人よりも、自分から仕事を見つけ、必要に応じて周囲へ働きかけられる人材のほうが活躍しやすい場面があります。
特に、これから美容医療を伸ばしていくハイブリッド型クリニックや、成長過程にある美容クリニックでは、新しい取り組みも多いため、積極的に仕事へ関われる人材は貴重です。
ただし、積極性が強ければそれだけでよいわけではありません。
医療機関では、決められたルールやドクター・上司の指示を守ることが前提です。
積極性だけを見るのではなく、責任感や従順性など他の項目とのバランスを見ることが重要です。
⑥自主性
自主性については、「自分がやるべきことを考え、自ら行動できるか」という視点で確認します。
指示されたことだけをするのではなく、
「患者さんのために今できることはないか」
「もっと効率よく仕事をするにはどうすればよいか」
「クリニックをより良くするために何ができるか」
と自ら考えられる人材は、特に成長期のクリニックでは重宝します。
一方で、自主性が高ければ高いほどよいというわけでもありません。
医療機関では、決められたルールや手順、ドクターの指示を守ることが前提です。
そのため、「自分で考えて行動する力」と「組織のルールや指示に従う姿勢」のバランスを見ることが重要です。
⑦従順性
最後に確認しておきたいのが従順性です。
ここでいう従順性とは、「何でも言われたとおりにする人がよい」という意味ではありません。
業務上必要な指示や院内のルール、社会人として求められる行動などを素直に受け入れ、組織の一員として行動できるかという視点で確認します。
特に医療機関では、安全管理や患者対応などの観点から、決められたルールや手順を守ることが非常に重要です。
「以前の職場ではこうだったから」「私はこのやり方のほうがよいと思うから」と、自分の判断だけで院内のルールや手順を変えられてしまうと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
一方で、従順性についても高ければ高いほどよいわけではありません。
指示を待つだけではなく、必要な場面では自分で考えて行動することも求められます。
そのため、自主性や積極性などとのバランスを見ながら判断することが大切です。
適性検査は「高得点の人」を探すものではない
ここで重要なのは、7つの項目すべてについて「高ければ高いほどよい」と考えないことです。
適性検査は、すべての項目で高い数値が出る人を探すためのものではありません。
例えば、積極性や自主性が非常に高くても、協調性や従順性とのバランスによっては、組織の中で自分の考えを優先しすぎてしまう可能性があります。
反対に、従順性が高くても自主性や積極性が低ければ、指示されたことはきちんとできる一方で、自ら考えて動くことが苦手かもしれません。
大切なのは、一つの項目だけを見るのではなく、それぞれの特性の組み合わせから、その人の全体像を見ることです。
職種によって重視する項目を変える
この7つすべてが重要ですが、職種によって重視するポイントは多少変わります。
例えば、受付・医療事務であれば、「共感性」「協調性」「感情安定性」などをやや重視します。
看護師であれば、「協調性」「責任感」「感情安定性」などを特に重視します。
もちろん、これはあくまで一例です。
大切なのは、「適性検査で高得点の人を採用する」ということではありません。
以前のコラムでお伝えしたように、自院がどのような人材を求めているのかという「採用ターゲット」をあらかじめ明確にしておき、その人物像と適性検査の結果を照らし合わせることです。
また、現在在籍しているスタッフと似た特性の人ばかりを採用する必要もありません。
クリニック全体のバランスを考え、「今の組織にどのような人材が必要なのか」という視点で判断することも大切です。
適性検査で次の選考へ進めるかを判断する
これらのポイントを確認し、自院が求めている人物像と大きく異なる傾向が出ており、書類選考の内容なども含めて総合的に判断してミスマッチの可能性が高いと考えられる場合には、私はWeb適性検査の段階で選考を終了することをおすすめする場合もあります。
いくら履歴書・職務経歴書がきれいであっても、来院してもらってオリジナルテストや面接を行う必要があるのか、一度考えたほうがよいでしょう。
一方で、適性検査の結果だけでは判断できない場合や、「少し気になる部分はあるけれど、一度話を聞いてみたい」という方については、次の選考へ進んでもらいます。
そして、Web適性検査を通過した方には実際にクリニックへ来院してもらい、クリニック独自のオリジナルテストを実施したうえで面接を行います。
美容医療への理解や患者への対応姿勢は別途確認する
なお、「美容医療に対してどのような考えを持っているのか」「患者さんのお悩みにどのように向き合うのか」といった美容医療特有の適性については、Web適性検査だけで判断することはできません。
こうした部分については、来院時のオリジナルテストや面接で確認します。
例えば、美容医療そのものに強い抵抗感がないか、患者さんのお悩みに関心を持てるか、患者さんの話を十分に聞かず一方的に説明してしまう傾向がないか、といった点です。
美容医療を提供するクリニックでは、患者さんの気持ちや希望を尊重しながら、それぞれの職種に求められる役割を適切に果たせる人材であることが重要です。
オリジナルテストは来院時に行う
オリジナルテストについては、自宅で実施してもらうのではなく、私は来院時に行うことをおすすめしています。
自宅で実施すると、インターネットで調べたり、生成AIを利用したり、第三者の助けを借りたりすることもできるため、その結果だけでは本人自身の能力を正確に判断しにくくなるからです。
特に、計算力、読解力、文章力、理解力など、実際の業務に必要となる基礎能力を確認することが目的であれば、クリニック内で一定の条件のもと、本人にその場で回答してもらうほうが実態を把握しやすくなります。
つまり、
「Web適性検査では性格や行動特性を確認する」
「来院時のオリジナルテストでは実際の基礎能力や美容医療への理解などを確認する」
「面接では人柄や考え方、自院との相性、書類・適性検査・オリジナルテストで気になった点を確認する」
と、それぞれの選考に役割を持たせるということです。
「書類選考→Web適性検査→オリジナルテスト→面接」の流れをつくる
今回は、書類選考の次にWeb適性検査を行い、自院に合った人材なのかを見極めるポイントについてお伝えしました。
私がおすすめしている選考フローは、
書類選考
↓
Web適性検査
↓
来院
↓
クリニック独自のオリジナルテスト
↓
面接
です。
書類選考でまず絞り込み、Web適性検査で性格や行動特性などを確認する。
自院が求める人物像と大きく異なり、書類選考の内容なども含めて次の選考へ進めるべきではないと判断した場合には、この段階で選考を終了する。
そして、そこまで通過した方に来院してもらい、クリニック独自のオリジナルテストによって実際の基礎能力などを確認したうえで、最後に面接を行います。
面接では、それまでの選考で気になった点について直接質問し、人柄や考え方、自院との相性などをさらに確認していきます。
このように、それぞれの選考に明確な役割を持たせて段階的に絞り込むことで、先生や採用担当者の時間をできるだけ無駄にすることなく、自院に合った人材をより多面的に見極めやすくなります。
ハイブリッド型クリニック、美容皮膚科、美容外科などでスタッフ採用にお悩みの先生は、書類選考と来院選考の間にWeb適性検査を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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