美容医療の売上は、無限に上がり続けるわけではありません。
まれに、「がんばれば売上を無限に伸ばすことができる」と考えていらっしゃる先生がいますが、現在の診療圏やターゲット、提供する美容医療・サービスが変わらなければ、いずれ売上には一定の上限が見えてきます。
診療圏には美容医療の市場規模がある
クリニックには、患者さんが主に来院する範囲、いわゆる「診療圏」があります。
もちろん、その範囲は固定されたものではありません。クリニックの認知度や専門性、症例実績、アクセス、競合状況などによって変化します。
そして、その診療圏の中には、美容医療にどれだけの需要があるのかという「市場規模」が存在します。
美容医療そのものの認知度が高まり、心理的なハードルが下がれば市場規模自体が拡大する可能性はあります。しかし、ある時点の診療圏、ターゲット、提供サービスを前提とすれば、その中に存在する需要には一定の限りがあります。
つまり、現在と同じ診療圏、同じターゲット、同じサービスのままで、売上だけを無限に伸ばし続けることは難しいのです。
限られた市場を競合クリニックと分け合っている
例えば、ある診療圏における美容医療の市場規模が年間10億円だったとします。
その市場に10院の美容クリニックが存在し、仮に市場を均等に分けたとすれば、1院あたりの売上は年間1億円です。
もちろん、実際にはきれいに均等になるわけではありません。
認知度、立地、提供する治療、価格、ドクターの専門性、症例実績、接遇、マーケティング力など、さまざまな要素によって各クリニックのシェアは変わります。
年間2億円を売り上げるクリニックもあれば、5,000万円にとどまるクリニックもあるでしょう。
重要なのは、「限られた市場の中でシェアを高めるだけでは、いつか成長に限界がくる」ということです。
では、その限界を超えて売上を伸ばしていくためには、どうすればよいのでしょうか。

私は、大きく3つの方法があると考えています。
① ターゲットを増やす
1つ目は、ターゲットを増やすことです。
従来、美容医療は成人女性が中心でしたが、現在では男性、高齢者、子ども、さらにはインバウンドなど、対象となり得る層が広がっています。
例えば、女性向けの美容医療だけを提供していたクリニックがメンズ美容を始めれば、これまで対象としていなかった新たな市場へアプローチできるようになります。
自院の強みや診療体制を踏まえながら、対象となる患者層を広げることで、新たな需要を取り込むことができます。
② 美容医療・サービスを増やす
2つ目は、自院で提供できる美容医療・サービスを増やすことです。
患者さんのニーズを踏まえながら、新しい施術や美容医療機器などを適切に導入し、自院で対応できる治療領域を増やすことで、市場を広げることができます。
例えば、医療脱毛だけだったクリニックが、シミ治療、ニキビ・ニキビ跡治療、シワ・たるみ治療などへ対応領域を広げれば、これまで取り込めていなかった需要にも対応できるようになります。
化粧品などの物販も、この考え方に含まれます。
ただし、新しい治療や医療機器を導入する際には、単に「売上が見込めるから」という理由だけで判断するのではなく、安全性、有効性に関する情報、ドクター・スタッフの習熟度、患者ニーズ、収益性などを総合的に検討することが重要です。
③ 診療圏を拡大する
3つ目は、診療圏そのものを広げることです。
①の「ターゲットを増やす」、②の「美容医療・サービスを増やす」を実行することも、結果として診療圏の拡大につながる場合があります。
さらに、特定の治療領域における症例経験を積み重ね、医療の質や患者さんからの信頼を高めることができれば、近隣だけではなく、より広い地域から患者さんに選ばれる可能性も高まります。
また、分院展開によって新しいエリアへ進出することも、診療圏を広げる代表的な方法です。
オンライン診療についても、対象となる診療内容や関係法令・指針等を踏まえて適切に活用することで、地理的な制約を受けにくい診療体制を構築できる場合があります。
1医院の限界を超えるために考えること
クリニックの売上を伸ばすために、既存の診療圏の中でシェアを高めていくことはもちろん重要です。
しかし、それだけではいつか限界が訪れます。
その先の成長を目指すのであれば、
①ターゲットを増やす
②美容医療・サービスを増やす
③診療圏を拡大する
という3つの方向から考えてみてください。
「今ある市場の中で、どうやって売上を増やすか」だけではなく、「自院が対象とする市場そのものを、どう広げていくか」という視点を持つことが重要です。
1医院としての現在の限界が見えてきたときこそ、この3つの視点から、自院には何ができるのかを改めて考えてみてください。
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