美容クリニックでは、季節や患者さんのニーズに合わせて、さまざまなキャンペーンを実施することがあります。

キャンペーンは、新しい治療を知ってもらったり、来院のきっかけをつくったりする施策の一つですが、実施する際には医療広告のルールにも注意が必要です。

美容クリニックが患者さんに割引価格を設定すること自体が、直ちに違法になるわけではありません。しかし、キャンペーンとして広告を行う場合には、医療広告ガイドラインを踏まえた表現が求められます。

厚生労働省の「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」では、キャンペーンや割引などを強調する広告について、医療機関や医療の内容の品位を損ねる、あるいはそのおそれがある広告として控えるよう示されています。

そのため、「キャンペーンを行ってはいけない」ということではありませんが、広告ではキャンペーンや割引、費用の安さを過度に強調しないことが重要です。治療内容や費用など、患者さんが治療を選択するために必要な情報を適切に提供することを基本に考える必要があります。

なお、自由診療についてWebサイトなどで広告可能事項の限定解除を受けるためには、治療内容や費用、主なリスク・副作用などについても適切に情報提供する必要があります。

では、こうした広告上の注意点を踏まえたうえで、ここからが今回の本題です。

キャンペーンを実施しているにもかかわらず、思ったほど反響や売上につながらないのはなぜでしょうか。

キャンペーンの反響が鈍いのは「伝わっていない」から

経営相談の中で、

「キャンペーンを実施しているのに、思ったほど売上が上がりません」

というご相談をいただくことがあります。

もちろん、キャンペーンの内容や価格設定そのものに問題があるケースもあります。

しかし、キャンペーンの内容自体は悪くないにもかかわらず、反響につながっていないケースも少なくありません。

その大きな原因の一つが、「伝わっていない」ことです。

そして、この「伝わっていない」には、大きく3つの理由があります。

①キャンペーンを実施していること自体が伝わっていない

1つ目は、キャンペーンを実施していること自体が十分に認知されていないケースです。

よくあるのが、キャンペーンの実施期間や告知期間が短いケースです。

ホームページやInstagram、LINE、院内掲示などで告知していても、すべての患者さんやWeb・SNSユーザーが毎日それらを見ているわけではありません。

告知期間が短ければ、キャンペーンの存在を知ってもらう前に終了してしまう可能性があります。

つまり、「告知した=伝わった」ではないということです。

どの媒体を使い、どのくらいの期間、どのように情報を届けるのかまで考えて、告知を設計する必要があります。

②キャンペーンの「良さ」が伝わっていない

2つ目は、キャンペーンを実施していることは何となく伝わっていても、その内容の良さや治療を受けるメリットまで十分に伝わっていないケースです。

例えば、

「この治療は、どのような患者さんを対象としているのか」

「治療によってどのような効果が期待できるのか」

「なぜ、そのような効果が期待できるのか」

といった情報が十分に説明されていなければ、患者さんは自分に必要な治療なのかを判断しにくくなります。

さらに、治療内容を具体的に理解するための症例写真や治療実績などの情報が不足しているケースもあります。

ただし、症例写真を広告に掲載する場合には、治療内容、治療期間・回数、費用、主なリスク・副作用等の必要な情報を適切に併記するなど、医療広告ガイドラインに沿った対応が必要です。

単に「キャンペーンを実施しています」と告知するだけではなく、「誰に向けた治療なのか」「どのような治療なのか」「どのような効果が期待できるのか」まで伝えることが重要なのです。

③対象施術が多すぎて「何がおすすめなのか」が伝わっていない

3つ目は、キャンペーンの対象となる施術を増やしすぎているケースです。

「せっかくキャンペーンを実施するなら、できるだけ多くの施術を対象にしたい」

このように考えて、医療脱毛、シミ治療、たるみ治療、注入治療、医療痩身など、複数の施術を一度にキャンペーンの対象にしているクリニックがあります。

しかし、選択肢を増やせば増やすほど、必ずしも反響が高まるわけではありません。

むしろ、ホームページやInstagram、LINEなどを見た患者さんが、

「結局、今月は何がおすすめなのだろう?」

「自分にはどの治療が合っているのだろう?」

と迷ってしまい、一つひとつの治療の訴求力が弱くなることがあります。

そして、これは患者さんだけの問題ではありません。

キャンペーンの対象施術が多すぎると、スタッフ自身も「今月、クリニックとして何を重点的に案内するのか」が分からなくなることがあります。

その結果、医療事務、看護師などによって案内する内容が異なったり、どの治療も十分に案内されなかったりして、せっかくキャンペーンを企画しても反響につながらないことがあります。

大切なのは、単純にキャンペーンの対象施術を増やすことではありません。

「今月は誰に、何を重点的に伝えるのか」を明確にすることです。

例えば、メインとなる治療を決め、その治療についてホームページ、Instagram、LINE、院内掲示などで一貫して情報を発信する。

さらにスタッフにも、「今月はこの治療について重点的に情報提供する」と共有しておく。

このように、患者さんへの訴求と院内スタッフの認識を統一することが重要です。

なお、スタッフが行うのはあくまで一般的な情報提供や案内であり、個々の患者さんに対する診断や治療の適応、治療方針の決定はドクターが行う必要があります。

「存在」「価値」「おすすめ」の3つが伝わっているか

キャンペーンの内容は悪くない。それでも反響が鈍い。

このような場合には、キャンペーンそのものを変更する前に、次の3つの視点から確認してみてください。

①キャンペーンの存在が伝わっているか
②キャンペーンで提供する治療の価値が伝わっているか
③クリニックが今、重点的に伝えたい治療が明確になっているか

私がご支援しているクリニックでも、この3つを整理することで、キャンペーンの反響や売上が改善するケースがあります。

キャンペーンを企画すると、どうしても「どの治療を対象にするか」「いくらにするか」といった企画内容に意識が向きがちです。

しかし、どれだけ良い企画をつくっても、その存在と価値、そして「何を重点的に伝えたいのか」が患者さんに伝わらなければ、反響にはつながりません。

キャンペーンは、「何をやるか」だけではなく、「誰に、何を、どう伝えるか」まで設計する。

美容医療のキャンペーンを考える上で、ぜひ意識していただきたいポイントです。



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